この本を読んだ。
中山 裕木子 講談社 2021年09月15日頃 売り上げランキング :
|
筆者の主張はこうである。
目指す英語を「非ネイティブによる、世界の非ネイティブにも伝わる英語」と定めます。
英語ネイティブだけでなく世界中の非ネイティブにも伝わりやすく、かつ品位の高い英語、正しく平易に伝わる英語を目指します。
伝えるべきことをゆっくりでよいので、しっかりつたえることです。それはまさに国際語としての英語です。
『シンプルな英語 (講談社現代新書)』(p.299)
これは大きな発想の転換。
私ときたら、
英文を作ったらgoogleにかけて「…という言い方をしますでしょうか、ネイティブの皆様は?」と言わんばかりに正誤を判断したりしている(卑屈すぎる)。
つまりその英語の良し悪しの決定権はネイティブスピーカーにあり、
私のような外国語として英語を学んでしかこなかったものは、
ネイティブスピーカーの足元にひざまづくしかないのである(卑屈すぎる)。
自分が英語のパートナーにフィリピン出身の推し先生を選んでいるのは、
彼にとって英語が母語ではないからかもしれない。
英語の原っぱで遊びたいとき、土地の所有者(=ネイティブスピーカー)に見咎められて、
「ここではそういう遊び方をしちゃいけないんですけどーッ?」とは言われたくないんである(卑屈すぎる。私はネイティブスピーカーに恨みでもあるのか)。
筆者の主張はとりもなおさず、
「私たちは別にネイティブスピーカーにひざまづかなくても美しく正しく強い英語を使っていける」ということで、
これはすべてのノンネイティブスピーカーへの希望であると思う。
SV、SVC、SVOの第3文型までを主戦場とするとか、
主語と動詞でいいたいことを言うように頑張るとか、
受動態より能動態で表現するとか、
具体的で、勉強の仕方も示唆に富む。
筆者はブロークンな英語でよいとは決して言っておらず、
スラングや句動詞のマスターに心を砕きすぎるよりは、
時制や冠詞の使い方など、
英語ならではのロジックが背後にあるものについてはしっかり身につけることを促している。
だから英語を諦めるのではなくて、
英語観を改めることによって向き合いなおす、という感じ。
筆者のTEDトークもあります。
お人柄も伝わってくるような、高揚感のあるスピーチ。
とても上品で知的で、よかった。
他方で、
私はネイティブスピーカーの英語がやっぱり好きである。
関係代名詞が駆使されているのを聞いては、
「おふーー!こんなふうに使うのか!」
と思う。
statusをアメリカ人が【stéitəs】じゃなくて【stǽtəs】と発音をしているのを聞いたときは、
「うあーーー!カッコいい私もそっちにする」
と思った。
ネイティブの「What's shaking?」を聞いて自分も使いたくなって、推し先生に、
「HEEEEEY What's shaking?」といって、
盛大に「…Huh?」と言われたりした。
そう私は完全に英語かぶれなんである。
いつまでも完全には駆使できない言語がゆえに憧れる思いと、
なんだかわからないけど、特に発音まわりで刺激される慕わしさは何なんだろう。
悔しいのに苦しいのに大好きなんである。
そして加速するMっ気…。
シンプル英語の考え方も参考にしつつ、
まだまだ英語でたくさん遊べるなと思うのでした。