私は空手を習っているのですが、
武道であるところの空手と、語学であるところの英会話に、
奇妙な共通点を見出します。
1.日常の、普通の動きとは違う
空手では、「足を前に出す」とか「手を回す」などの、
普通にできる動作がたくさんありますが、
どんなに普通に見える動作も、基本的には普段の、日常生活の普通の動きではないようです。
スピードが違うし身体への神経の使い方、力の入れ方からして違う。
同じように見えても同じように動かしていない。
このことは英語の発音に対する考え方に似ています。
英語も同じで、日本語と似たような音の発音はあって、それで流用しても通じるけど、
やっぱり違うんですね。
たとえば「Time」という発音を日本語のそれを利用して「タイm」みたいに発音すれば伝わるけれど、厳密に言えば[táim]は「タイm」ではない。
母語で持っているものでやろうとしないで、新しく一つ一つの音を置き換えるくらいの気概がないと発音は習得できないと思うのですが、
空手も同じで、どんなに簡単に見える、自然に見える挙動も、
「普通」じゃないんだと思います。
私の空手の先生は、立つときに「足をしっかり張って」という言い方をされます。
まさにこれから英語で話そうとするときに私は声をしっかり張り、
声の重心を落とすような感覚を持ちます。
英語で話すときは少しピッチが低いので、低い声が出やすいようにちょっと構える。
これ空手にそっくりです。
2.模倣が大事
空手も英語も目標となる、模倣すべきものがあって、
それをまねることが特に最初は大事なようです。
細部まで注目し、
それを自分の身体に落とし込んで再現するために、
解釈して表出する…
英語でも空手でも似たようなことをしています。
3.明確な間違いがある
空手の形の演舞で、右で蹴るところを左で蹴ったらそれは間違いであるように、
英語で、RをLで発音するとそれは間違いです。
また、許容されやすい間違いとそうでない間違いがあるのも事実。
4.自分では修正点に気づきにくい
空手で、特に四股立ちという、股を開いて腰を落とした立ち方のときに注意されますが、
自分ではストンと腰を深く落としたつもりでも「全然浅い」ということがよくあります。
英語もやっぱり自分のミスには気づかないです。
だから録音して聞くのが大事だと言われてるんですね。
5.練習すると上手くなる
なんだってそうですけどね。
細々とでも続けて、やめないことが大事なんじゃないかな。
成果がすぐには見えないことも似てるな。
5.仲間が大事
空手も英語も基本的には個人でやるものなんだけど、
仲間のモラルサポートって大事です。
励ましてもらえると続けやすい。
自分より相手のミスが気づきやすいから教えてもらえると助かるし。
6.どちらも癒し
空手も英語も私にとっては癒しです。
日常とは違う世界の美しさと深さ、厳しさ遠さに、
いつもクラクラさせられています。
圧倒的な強さ、正しさがある完璧な世界に、不完全な自分が寛容にも入れてもらえるありがたさ。
空手も英語も、「世界には学ぶことがまだこんなにある」といつも感じさせてくれます。